化外の民

近代デジタルライブラリー台湾総督府警務局編の理蕃誌稿 第1・2 1頁(24/484)によると、日清戦争講話条約のための第三回目の交渉において

「台湾全島其ノ付属諸島嶼及ビ澎湖列島」を要求スルヤ李鴻章ハ台湾(澎湖列島ノ外)ノ割譲ニ對シ頗ル難色アリ且ツ其ノ第三四回ノ談判ニ際シ我ガ全権伊藤博文伯の質問ニ答エテ「台湾ニハ強桿ナル潮惠漳泉*1ノ移民ノ外島内十ノ六余二占居スル化外ノ生蕃アリ」ト曰ヒナルヲ以テ統治スルノ容易ナラザル所以ヲ告ゲ我ガ意向ヲ翻サシメントシタルニ(以下略)

と答えていたという。まぁ、ケンケン録の交渉過程と乖離しているので、実は別人が言っていたという話でもおかしくはないのだが、注意すべきは、この文でも「台湾は化外の地」と言っているわけではなく、部分的にまつろわぬ民がいてめんどいよ、という忠告になっていること。文脈からして、どちらかといえばそう言った難事を越えて治めてきた土地をそうやすやすと割譲なんかできません、とさえ読める。

これがまた聞きになればなるほど、怪しい話「李鴻章が一番先に台湾の割譲を同意した」「清朝は台湾をお荷物扱いにしていた」という話になるようだ。

それにしても元資料に当たれて、スッキリーした。おやすみなさい

*1:泉州人・漳州人