台湾人の老兵の言葉

NHKは、いまだに「ドイツはナチの負の遺産清算したが、日本は・・・」という図式で歴史を語ろうとしているようだが、これは神話にすぎない。本書は、欧州の戦後処理がいかに首尾一貫しない中途半端なものだったかを具体的に明らかにしている

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/c773878b2244161a9ad85ddb3f929915

昨日のNHKスペシャル|シリーズ JAPANデビュー 第1回 アジアの“一等国”を腐しているようだったけど、最後の最後にものすごい爆弾が仕掛けてあったのを見逃したらしい。

台湾の戦中エリート層の口から、同化政策の名のもとに進学できるようになった日本人学校で、制度的・非制度的に日本民族化を強制されていた体験が語られるというのが基調の番組であった。

思うに、これまで輝かしき日本統制時代のプラス面としてのみ台湾人や朝鮮人への教育は語られ過ぎていたかと思う。しかし、その教育の制度的拡充は段階的であるし、その裏側にあるマイナス面としての「植民地人差別」は語られてこなかった。そして教育政策の負の側面、あまりにも日本語教育重視で育った日本世代の台湾人は、自分自身のアイデンティティ不安を持つほど中文読解や漢語での演説ができないという衝撃的な事実。

しかしこの番組の本当のすごさは、「日本は帝国時代に台湾にいいことばっかしたよね」的な能天気な国士様の横っ面をひっぱたいたことではなく、最初に書いたように最後の老人の言葉にある。「私たちは日本人兵士として、命をかけて戦った」「差別して」「若い人は分からないから80才以上の人に伝えてくれ」

そういったある種の日本への憧憬と、差別への不信を吐露しつくし感極まったところで「それなのに」でぶちきったNHKの編集にある。

ドキュメンタリーなんだから最後まで語らせろよ、と思わなくもない。あのカットはNHKの倫理規定に反したから切ったのだろうか?ただただ日本悪者論的なバッシングをするために、不満をぶちまけたシーンが欲しかったのか?

もし国士様が妄想するように、日本の支配=単純悪という構成なのなら「それなのに」はそもそも入らない。その前でカットすればいい。NHKはかなりの尺をつかって、老人のアンビバレントな日本への思いを表現していた。

これはどういったことなんだろうか。

彼らに対して日本政府や、我々日本人がなにをしたらいいのか。具体的なことを一人の言葉に還元してもどうにかなるわけではないだろう。しかし台湾人・半島人の軍人・軍属の恩給問題を思い起こさざるを得ない番組だった。

追記

転載

いつもNHKの番組やニュースをご覧いただき、ありがとうございます。
 お問い合わせの件についてご連絡いたします。
 4月5日(日)放送【NHKスペシャル シリーズ JAPANデビュー 第1回「アジアの“一等国”」】をご覧いただき、ありがとうございます。
 番組は、『台湾の人びとは親日的』という捉え方を否定していません。そうした捉え方があることを前提として、日本の植民地支配を実際に体験した台湾の人びとが当時どのように感じ、どのように生きたのか、という実態を明らかにすることで、アジアと日本の歴史に真正面から向き合うことを目的としています。そうした過去を直視することで、アジアと日本の未来を探っていきたいと考えているからです。
 今後とも、NHKをご支援いただきますようお願いいたします。お便りありがとうございました。

なんか文句を言うとこういうメールがもらえるらしい。
常識的な読解力があれば、台湾人に親日的な側面があることはよくわかったんだけどねぇ。ただの反日番組にしか見えない人が多かったらしい。ま、事実関係の間違いがあれば指摘したら訂正されるんじゃないかな。