オランウータンの消極的分配

Behavioral Ecology and Sociobiology誌のサイトに行ったら、猿団子が表紙に萌えた。

件の論文はIntersexual food transfer among orangutans: do females test males for coercive tendency?アブストが読める。

パッと読んで知りたいのは二点。一つめはF/MとM/Fの話ばっかだけど、F/FとかM/Mはないのか。二つめはオスをフランジ・アンフランジで分けてないのはどうしてかという点。

本質的な問題点としては、個体識別をしているのだろうから、分配があった後の同じ組み合わせでのアソシエーションなり性交渉のデータを出さずに、「メスは、エサの横取りという行為でオスの攻撃性をテストできる。付き合いを続ける価値が相手にあるかどうか判断しているのだ」というのは、先走りすぎで考察としておかしい。エディターレベルでチェックをすべき。

分配行動の偏りだけで十分おもしろい話なのだから、変に欲を出して社会生態学的な語りをする必要はなかった。

ところでBehavioral Ecology and Sociobiology誌*1はいくつかの論文について、オープンアクセスとクリエイティブ・コモンズを設定しているのだが、transfer論文も対応してほしいなぁと思った。

*1:版元はspringer