商標権と著作物保護

「朝バナナ」本で提訴 類似出版の中止求める(社会) ― スポニチ Sponichi Annex ニュースを読んで、google:商標 著作物 裁判で検索。

以下強調は私

(1) 不正競争防止法による保護

不正競争防止法では、他人の商品等の表示として周知なものと同一又は類似の商品等の表示を使用することなどにより、他人の商品等と混同を生じさせる行為を不正競争に当たる(同法2条1項1号)として、周知の商品等の表示を元々使用している事業者は差止請求や損害賠償などの対抗手段を採ることができることを認めています。また、著名な表示の場合には、混同が生じるかどうかに関わりなく同様の対抗手段を採ることができることとされています(同2号)。これは他人が築き上げた名声や信用などの成果に「ただ乗り」しようとする行為を防止しようとするものです。先に述べたように問題となるには、表現自体よりも、特定の著作物と結びついて広く一般に知られた題号の場合ですから、題号の保護をこの観点からとらえることは十分考えられることです。最終的には採用されませんでしたが、現行著作権法の制定準備過程でも不正競争防止の観点から著作権法に防止措置を盛り込めるかどうか検討された経緯もあります。

不正競争防止法に基づく事件としては、小説「チャタレー夫人の恋人」について、元々の出版社の商号を用いて同一内容の書籍を類似の装幀で出版した業者の行為を不正競争に当たるとした事例(最高裁昭和33年3月27日判決)、著名なファッション雑誌「VOGUE」の名称を使用したベルト等の製造販売行為を不正競争に当たるとした事例(大阪地裁平成元年9月11日判決)があります。一方、不正競争に該当しないとした事例としては、雑誌の登録商標である「特選街」と雑誌の題号である「おとなの特選街」について、類似性が否定されたもの(東京地裁昭和62年10月23日判決)や、ラジオ番組の人気コーナーにつけられた「究極の選択」という題号と類似した題号の書籍の発行について、「究極の選択」は営業表示や商品表示には当たらないとしたもの(東京地裁平成2年2月28日決定)があります

(2)商標法による保護

著作物も書籍等の商品として流通するわけですから、商品等の表示に関する商標法による保護はどうでしょうか。

特許庁の実務では、単行本の題名には原則として商標登録を否定するという方針を採っています。昭和22年に夏目漱石著作権が保護期間満了により消滅する際に夏目家では「漱石全集」その他の漱石作品の題号などを商標登録すべく特許庁に出願しました。この事件は著作権の代わりに商標権で権利を確保しようとした例で、出版界では大問題となり、結局、特許庁は出願を認めませんでした(漱石商標登録事件……この事件については鈴木敏夫実学著作権(上)」96頁以下に詳しい。)。しかし、定期刊行物の場合には商標登録が認められていますから、雑誌の名称の場合には商標権を利用することも考えられます。

(3)その他の手段

 以上の他にも、著作者の人格的利益の保護を理由として一般的な不法行為に基づく損害賠償を求めた事例があります。「父よ母よ!」というルポの題号と同一の題号を用いた書籍に関する裁判で、判決には至りませんでしたが、裁判長が「同一題号の書籍の出版が場合によっては人格的利益の侵害となる場合がある」という見解を出し、これに基づいて和解したというケースです(朝日新聞平成9年1月31日夕刊)。なお、「がんと丸山ワクチン」という書籍の題号について、放送番組「NHK特集がんと丸山ワクチン」は内容が同一であるとの印象を与え、著作者人格権、名誉権を侵害するという主張に対し、これを否定したケースもあります(東京地裁昭和57年11月22日判決)。

http://www.cric.or.jp/qa/sodan/sodan6_qa.html

まとめると、裁判になったら

  • 不正競争防止法で攻めるなら勝ち目がありそう
  • 雑誌だったら勝てたかも
  • 非定期刊行物の書籍の場合、商標法では保護されない
  • 通常の著作人格権では勝てない

裁判としては無理筋だけど、売名目的で訴えたのかな。

でも過去には

2007.01.01
文春新書『ソク単』について
株式会社文藝春秋より2006年10月の新刊として発売されています文春新書・晴山陽一著『ソク単』は、Z会の『速読英単語』、略称『速単』とは、まったく関係ございません。
『速読英単語』、『速単』はZ会が登録しております商標です。この度、株式会社文藝春秋はその非を認め、『ソク単』を絶版扱いとしました。
 →文藝春秋のお詫び文
なお、『ソク単』は絶版とはなりましたが、引き続き書店店頭で販売されております。お間違いの無いよう、引き続きご注意ください。

http://www.zkai.co.jp/home/oldnews/index.asp

という例があるから、自発的に絶版にする可能性はあるかも。