孫悟空のモデルのサルは何か?

痛いニュース(ノ∀`):「孫悟空」の起源は韓国のサルだった…韓国教授が主張

件の記事も元記事にも、「孫悟空起源は韓国」を主張している韓国人教授とやらの名前がないので、ニュースソースとして全く信用が出来ないのだが、そもそも孫悟空のモデルは何だろうか。
 痛いニュースでは未だにキンシコウ派がいるようで微笑ましい。これは日本モンキーセンターの園長の小寺さんが宣伝の為に吹いた法螺がもとなので信用してはいけない。まぁ最近はこの説があちらに逆輸入されているそうなので、中国での定説になる可能性があるのだけれど。
 さて孫悟空 - Wikipediaには中野美代子氏のアカゲザル説が載っている。中野氏の論考は説得力があるので簡単に紹介したい。 現在中野氏が孫悟空のモデルであり得るとしているのは以下の種である。

 後ろ二つは他の伝承の中でも霊的に高い存在とされている動物であり、非常に魅力的な動物である。子殺しで有名なハヌマーンラングールはインドのハヌマーンのモデルとされている。またテナガザルは普通のサルとは一段上の存在であると中国ではみなされてきた。さらに孫悟空の生まれた花果山は東勝神州の近海とは、テナガザルのいるらスマトラ島ボルネオ島である可能性も全く無いわけではない。
 さて考える上で重要なのは、孫悟空の美称が美猴王であるということなのである。実は中国語において、猿は無尾猿つまり類人猿を指し、猴はオナガザルを意味する。なおかつ先行する伝承においても猴らしい。
 この点テナガザルは落第である。ハヌマーンラングールも猴だが、出身地でアウト。

 さらにアカゲザルは中国でもっともメジャーなサルである。結果的にアカゲザルが最有力というのが彼女の結論である。


 んが、個人的にテングザルのダイブとかチベタンモンキーのモッフモフの可能性を捨てきれない。

追記

ふと思い立って分布図を見てみたのだが、韓国にはどうもサルがいないようだ。食い尽くしたかな?

続追記

 生態の側面から考えてみよう。花果山のサルたちの描写はどう考えても多夫多妻というか群れ内に複数の雄と雌がいる。つまり乱婚かバンド(一夫多妻のユニットが複数集合した群形態)をなしていると考えられる。では候補となるサルたちの群は一体どのようなモノだろうか?

 ハヌマーンラングールは一夫多妻であり、群の更新は雄グループによる襲来と子殺しによって成立している。アウト
テナガザル科は一夫一婦ばかり。ついでに同所的にいる猩々ことオラウータンは一夫多妻で、周辺にアンフランジのヘタレ雄がこっそりスニーキングする。どちらにしろ習俗が違う。アウト

 テングザルは、、コロブス科なので葉食なんだよなぁ。反芻野郎だし。水に飛び込むとかナイスな種なんだが。一夫一婦。

 アカゲザル、というかマカク類はというと多夫多妻。なお母系社会なので雄は生成熟する頃に、出自群を出てしまう。つまり花果山に残るわけがない!
 あれ?アカゲザル説否定になるのかな?西遊記が手元にないのでちょっと生態を確認しないと断定できないけど。

 となると残るのはヒヒかチンパンジーなの?確かにアフリカヒヒはバンドをつくるけど、、地上性が強すぎて樹上や空を飛び回る孫悟空のイメージじゃないし、、。

 まぁ雄が出て行くシステムの群なんて個体識別をした研究の前には知られていなかっただろうし、マカクが一番妥当か。

続々追記

キンシコウの生態について話を聞く機会があった。一夫多妻のユニットが固まるバンドを形成するらしい。しかしものすごく頭の悪いサルらしく、仲間が銃に打たれても全然逃げないという、現地猟師の話もあるとか。