先制攻撃より迎撃システムが非難される謎

 日本政府はこのデブリで中国を非難した。確かにデブリの発生は問題なのだが、よく考えるとデブリはブーメランのように日本自身に戻ってくる問題でもある。

 なぜなら、宇宙空間を飛んでくる敵のミサイルを迎撃ミサイルで爆破するという米国のミサイル防衛(MD)システムに、日本は資金面、技術面で協力しているのである。

 ミサイル防衛に反対する米国の科学者たちは「ミサイルの迎撃は大量の宇宙ゴミを出すので、低軌道を使う人工衛星が永久に使えなくなる」と警告している。中国製のデブリが悪いなら、ミサイル防衛で出る米国製デブリも非難されなければならない。

http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/kaneko/news/20070208dde012070032000c.html

将来戦争が起き、まさに金子氏が指摘する事態になったとき、確かに一意的に弾道ミサイルを打ち上げた方が悪いとは言い切れない。デブリの拡散に関して共犯的な関係になるといってもおかしくない。
しかしそれはあくまで対立的な関係によって引き起こされる共犯関係であり、迎撃ミサイル側が一方的に非難されるわけでもない。あくまで迎撃せずに引き起こされる悲劇のヒロインになれと言うのだろうか?無防備なら攻撃されない?

一方、ジュネーブ軍縮会議で衛星攻撃兵器の禁止を提案してきたのは中国だ。米国は反対した。日本が中国の宇宙軍拡に反対しようとするなら、ミサイル防衛にも反対しなくては筋が通らないのである。

勝手に自国の都合でデブリまき散らすなんてのは、ヤクザが地上げのために治安を悪化させるようなものだ。提示額に応じないと言って非難される筋なんてのはない。