ジェンダーとセックス

今月の大航海(2006年 No.57)「特集 女と男への新視点」ということなので読んでみた。個人的にはそれよりも、「大航海インタビュー 西垣 通×三浦雅士 パースと基礎情報学 」がそこそこ面白かったけど、その感想は割愛する。生命論はしっかり追いかけないと、いけないかもしれないと感じさせた。
一番良かったのは、主張の明快な赤川学の論文で、次点は池田清彦か。もともと共感を持っているので多分にバイアスがかかっているかもしれないが。
気になったのは、「田中冨久子×長谷川眞理子対談」だ。とりあえず能天気な田中と、口の滑る長谷川という組み合わせで、全体として長谷川しかしゃべってない。ジェンダーの話で脳科学者の出番はまだ来ないということなのだろう。
詳しくは本誌を読んで欲しいのだが、、長谷川はジェンダー論に関して妙な偏見があるのではないのだろうかと疑われる箇所が多かった。例えば、男女同室の着替えとかをジェンダーフリー論者の欠点としたり、マネーの論文を根拠にするようなフェミニズム論者ばかりが身の回りにいることを臭わせていた。
また、保育が発達して母親が仕事をすると子供の負担になるという話があったのだが、父親が消えてしまっていたり、単純なレベルで思いこみが激しい。
本人は、「女性は産む性である」と「産むべきである」という話を分けているつもりであるし、そうだと言ってはいるが、語れているのは中途半端な話であり、行動生態学者の限界を示していた。