高級ワインのお値段

フランス最高級ワイン生産にかかるコストは?ーその2 | イタリアワイン新着ニュース - VinoVinoVino.com
をおもしろく読ませてもらった.


1991年から2000年までの10年間で7回しか生産されておらず、1回当たりの生産本数が500万本ドン・ペリニョンは、モエ・シャンドン社で最も重要なワインだ。ブドウの作付面積は1,100ヘクタールに上る。1ヘクタール当たり8,800本のワインを生産でき、1本当たりのコストは2.3ユーロ(約260円)。シャンパーニュ地方にある1ヘクタールのブドウ畑は平均100万ユーロ(約1億1千万円)といわれており、50年の減価償却費は2.3ユーロ(約260 円)である。これに醸造や瓶詰めにかかる費用(1本当たり2ユーロ)、熟成にかかる費用(ミレジマートの熟成期間は最低7年間)がかかり、1本あたりのコストは9.28ユーロ(約1,000円)となる。さらに管理費、販売経費、人件費(モエ・
シャンドンの社員数は1,100人)などで1本当たり3ユーロ(約340円)が追加されるほか、毎回ドン・ペリニョンが発売される度にかかるマーケティング費用は2,500〜5,000万ユーロ(約28億7千万〜57億5千万)かかるため、1本あたり5〜10ユーロ(約570〜1,100円)が上乗せされる。最終的に、1本のドン・ペリニョンにかかるコストは 17.28〜22.28ユーロ(約1,980〜2,500円)。

一応計算式は、モエ・エ・シャンドン社のネゴシアンブランド全体の費用、つまり人件費や、マーケティング*1といった経営維持費用全体を全ブランドの出荷本数合計で頭割りしたか、ブランドごとに何らかのレーティングをして算出したようだ。

そりゃあネゴシアン全体の経費から考えて、量産の低価格帯商品によって基準となる値をごっそり抑え、230円からスタートさせたら上澄みを載せた上級品だって2500円までしか行かないわな。

さて、では1本x円の上級品だけしか作らないブランドがあったとして、我々はどれくらいの生産者価格なら納得できるだろうか?

例えば小布施ワイナリー的なところが、ワインを極めて芸術品のようなものを作り出したとしたらどうだろうか。農地代や管理コストは、日本でも一本300円からだろう。上乗せするのは人件費だ。

芸術品を作り出した人が社会的に認められないのはおかしい。飯田泰之によれば年収1000万円以下は「貧乏人」なので、従業員y人の平均年収はその二倍の2000万円をもらってもよいことにしよう。諸経費はこの際年収に含まれていることにする。だって農業って基本的に身体的な持ち出しだらけで成立しているし。

さて生産本数はz本とすると

会社の維持費=生産者出荷価格ー来年度投資分α
2000万y = xz - α

まぁ有名なカルトワインを参考にすると、


年間
総生産量 わずか600ケースというスクリーミングイーグルのカベルネソー
ビニヨンはリリース時の値段が驚きの$300。さらに市場では$1500以
上(一本がですよ!)で取り引きされています。

California
Wine Page 〜カリフォルニアワインのページ〜

ということになるので、zに7200本を代入。

まぁ芸術家が投資分なんて考える分けないのでα=0。

20000ky=7200x

x=2.8ky

50人*2でやっているとすると、一本14000円位。あれ、スクリーミングイーグルの値段にぐっと近づいた。しかも最近のトップシャトーのトップブランドの卸値って2万位*3だったような。

んー、案外高級ワインの卸価格ってさほどおかしい値段ではないのかも知れませんね。

*1:あの悪名高い”シャンパーニュブランドはフランスシャンパーニュ産ワインだけ運動”など

*2:多すぎ。20人くらいが適正?

*3:ミュジニー・グラン・クリュ1本の卸値は150ユーロ(約17,250円)