メモ:家族と世帯

家族family、世帯householdという用語には異なる意味がある。前者は婚姻制度を媒介にした心理的な結びつきを重視したユニットであるのに対し、後者は経済的な自律性を重視にしたユニットのこと。それぞれ家族社会学や経済人類学などで結構な蓄積がある。
はっきり言えば、両者ともきっちりしたものではなく、延々とグレー領域を備えているので、社会科学ではそのゾーンを何らかの方法で区分けする必要がある。収入自体が補助金づけだったり、物乞いだらけだったりするのか、メンバーシップにしても年の何割一緒に寝ているのかやら、拡張概念がどこまで広がっているのか、それは排他的なのか重複可能なのか。

そして重要なのは、人々はえてして単一の概念で「家族」や「世帯」をとらえておらず、文脈に応じた、あるいは文脈自体を操作的に都合しながら、概念を利用したおしているらしいことだろう。

夫婦の別氏選択制なぞ現実的には、現実のなぞりなおしに過ぎない。付け焼き刃で「日本の家族とは〜」、といっても事実から乖離した願望が表れるだけなのだ。