奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録

無農薬のリンゴは可能か。それについてなにかの実感があるほどリンゴ栽培に親しみはない。ただ日本人が好む生色用品種は無農薬ではできないと、どこかで聞いた知識に縛られていた。
そして読んでみて、リンゴの無農薬栽培を実践するのはかなり問題があることがわかった。木村氏の取り組みにはすごく納得のいく部分と、それを実行することの困難がありありと浮かんできて、どうして手放して褒めている人がたくさんいるのか分からないくらいだった。

まず、木村氏のリンゴは農薬の利用を前提にした品種を9年間もの無農薬栽培と、そのあいだの病害虫による枯死や病死で、半分まで選別することを経ている。農薬を前提にした栽培植物が、6〜7年に及ぶ低栄養・疾病状態が続き、葉が夏を越せない状態から偶々、無農薬が出きるようにな枝がわりが起きたとしか思えないくらいの変化。

そして、無農薬といいながらも無登録農薬の醸造酢とワサビを使っていることがわかった。病気の防除のためには欠かせないのだが、実はタイミングやその濃度に関しては、かなり熟練の観察眼が必要なのである。木村氏は混作を併用して土壌改良をすることで、木への栄養供給が十分になったことで病気にかかりにくくなったことで、酢やワサビだけでも十分に防除できるようになったと言う。しかし、かなり長い時間をとおして、木自身にもアレルゲンを大量に貯めさせたことも重要な要素だ。これを抵抗力と主張しているが、70年80年生きる人間にとって体にいいことなのかわからない。