躊躇

佐藤亜紀氏の日記のRSSが充実していることに気付いてちょっと嬉しい、ということでTBをしてみる。

正直、私が「スターウォーズ」げっ、と思い始めたのは「帝国の逆襲」以来ですな。「私はお前の父親なのだ」だと? そこだルークやっちまえ、と私は密かに声援を送った。「今更何抜かすこの野郎ぶっ殺してやる」とまでは行かなくとも、「だからどうした」が普通だろ。大人なんだからさ、さくさく仕事しろよ仕事。ところがアメリカ映画は必ずここで怖気付くのな。まあ、四十男がお父さんの亡霊とキャッチボールして喜ぶという、思わずさぶいぼ映画もヒットしてたけど。何というかこの手の親父ラブって気味悪い。

この手の犯人がおもいっくそ開き直っているときに、きちんと攻撃出来た主人公というのはボーンコレクターのヒロイン以外に記憶がない。お馬鹿スパイ映画ですら犯人がしおらしいふりをすると*1、それまでどれだけ悪役の命なぞこれっぽっちも気にしていなかった主人公が、銃を下ろしてしまいがち。
で、例のお約束が始まる
1)悪役、悪あがきをする。2)人質を取る。3)また諦めるふりをする。4)隙をついて攻撃するも失敗。とやると日本の刑事ドラマで、ハリウッドものだと、a)悪役、悪あがきするも失敗。b)作戦成功として油断する。c)悪役ゴキブリじみた生命力で再度襲来。d)打ち倒してラブシーン。となる。
ボーンコレクターの場合、悪役が開き直ったわけではないが、主人公を救出しにきたヒロインが部屋に入るなり、警告すら出さずに犯人を撃ち殺してしまった。凡百のドラマならヒロインが銃を構えて、例の「動くな!」としょうもない警告を発するものだが、そこを一切省略し、職人としての刑事を描ききることに成功したと思う。
で、不思議なのはネット上の評判が妙に悪いと言うこと。うーん推理小説はエコ様によってとっくに殺されているので、犯人と事件の相関なんぞ気にしてはならないと思うのだがねぇ。猟奇犯なのはただのブームに乗って見せたオシャレなんだし。佐藤哲也氏の言うように本人も周りのみんなも真面目に仕事をしているというのを楽しむ映画なのに。

ちなみラストの大円団は、インテリがしがちな説教口説きを主人公がしたのだと脳内補完すると納得出来るので問題なし*2

*1:死んだふり、逆ギレというバリエもある

*2:もちろんそう解釈してしまうと、作品理解自体が大部歪んでしまい、職人ものではなくてインテリ恋愛もの、今ならオタク恋愛ものとくくれるかもしれん。