説得力

芸術には何らかの説得力がないといけない。よく知られた巨匠の作品が今なお芸術品であるとされるのは、その説得力故である。ただしその説得力は文化に依存する物であるから、石器時代などの芸術作品を今そうと認めるのは、共通する視点の有無が問題になる。もちろん普遍的なものもあるだろう。例えば一流のアスリートの肉体を芸術に例えることはよくあるが、それに対して異を唱える人は少ないに違いない。
その一方、最近の現代美術は非常にその共有が難しくなっているように思える。それはある作品を芸術にするものが作品に内在せず、制作者のコンセプトにとどまり、それを表明するのが限られた評論家のペンに依存するという構造をとることが稀でなくなったからである。
今回おばちゃんが捨ててしまったのもソコラ辺に問題があると思われる。従来の思いこみを破壊したければ、分かり易くするべきなのに、普段芸術作品を見慣れているハズの職員に捨てられるなんてよっぽど説得力のない作品だったのだろう。
美術館側はきちんと評論家の解説を並べておくべきだった。
AZOZ BLOG: 掃除のおばさん、ゴミ袋を捨てたら芸術作品でビックリ