儀礼って何だろう 1
今村仁司さんが亡くなった。合掌。
というわけで彼の遺稿とも言える儀礼のオントロギーを積ん読の山から引っ張り出して追悼読書。彼の論文を読むのは、『社会空間の人類学』に納められている「社会空間の概念」以来久方ぶりだ。
なお儀礼本における息子さんと親父さんの書き込みの割合は後書きによると、
さて、本書が共同著作であることに少々触れておきたい。本書の基本的着想は今村真介(近代フランス社会思想史)から出た。彼の着眼の骨子は彼の著作『王権の修辞学』のなかにほぼ出そろっている。これを読み興味をそそられた今村仁司(社会哲学)が「儀礼的実践」と儀礼装置という言葉を概念へと練り上げる仕事を担当した。著作のイニシアティブは言うまでもなく今村真介であるが、前編にわたって相互討論による共同制作である。
二人の著者の大まかな分担責任を以下に示しておきたい。
今村真介 第一、二、三章。第四章の一部、第五章の一部、第六章の前半。
今村仁司 第六章の後半部と第七章。第一章から五章までの概念的記述の補充と付加および文章と語彙の統一作業。
とある。ほとんど今村真介著監修仁司と言った感じで、なんだか息子の考えを後押しするために書かれたような気がしなくもない。
ちなみに詳細目次は以下の通り
まぁ盛りだくさんといった内容になっている。後書きを読む限り、追悼読書は7章だけでよさそうだけど、ちらっと見た感じ様々な社会を扱っている前半も面白そうだ。
儀礼とは何かという問題について、当面の私の理解は
- 動物(当然人間も含む)のコミュニケーション的行為のうち、参加者はその遂行によって、参加者間のゼマンティックの共有が確認される行為
- 意味論の確認は、組織の継続を阻害する複雑性を縮減され親密さが増す。
- 逆に非組織的な関係は、「儀礼的ではない行為」によってゼマンティックの共有が確認され、親密さが増す
- 親密さが増すというのは、コミュニケーションの継続を容易にするということ
- 「儀礼的ではない行為」は非組織的な関係の拡大(非組織の組織化)を通して、儀礼化するというパラドックスを内包する
と言った辺りである
以上の見解は洗練されているとは言い難い。組織やコミュニケーションについての理解が曖昧すぎるのが問題だろう。
読了した時にどのような議論になるのか楽しみだ。
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