地球温暖化についてのぼんやり

地球温暖化について最近気になっている論文が二つある。

Frank Keppler, John T. G. Hamilton, Marc Braß and Thomas Röckmann
Nature 439, 187-191 (2006)(日本語による紹介は論文の紹介: 好気的環境にある陸生植物からメタンが発生している (情報:農業と環境 No.78 2006.10)Y日記 - ケプラーの衝撃とメタンミステリー

槌田敦の論文によると、従来信じられている地球温暖化の因果関係は事実と異なっており、そもそも気温が原因で二酸化炭素が増減するというのが地球のメカニズムであるという。槌田が提示するグラフはまさにそれを示しているのだが、確かに気温の上昇によって海中からのCO2放出が導かれるというストーリーに説得力がある。また、一時的な気温の低下によって大気中の二酸化炭素の量が減っているのは、悪循環というよりも平衡関係にあることを示しているという主張も見事だ。
これが事実であるならば工業生産などからのCO2排出量を規制したところで、温暖化は抑制できない。
それならば地球温暖化は一体何を示しているのだろうか。一つの可能性としてCO2以外の温室効果ガスの存在が疑われる。
京都議定書はCO2の排出規制ばかり強調されるように思われるが、実際に規定されているのは温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、HFCs、PFCs、六フッ化硫黄)の排出規制だ。
そのうちメタンガスはCO2の20-30倍の温室効果があることは知られており、以前から水田や畜牛から排出されるメタンガスが問題なのではないかと指摘されており、実際に水田を畑作に転換することによる温室効果ガス削減効果についての実証研究が行われている(例えばメタン発生の多い水田での畑転換は有効な温室効果ガス発生抑制技術である)。気象庁のサイトにある温室効果ガスに関する基礎知識によると、産業革命以前から1998年までにCH4の量は2.5倍になっている。
もし産業革命がメタンガス放出量に影響したとするならば、何が影響したのだろうか?二つ目の論文がそれを裏付けるかもしれない。

続く。