*1再犯性
馬鹿な記事を書いていて重要な記事について触れるのを忘れていた。id:rna:20050304経由です。酔っているのでまともな話が出来るかどうか。
お題は性犯罪者の再犯率はどう言った物か?という昨年末から議論が紛糾していた問題について、警視庁から発表があったことを受けての各新聞社の反応。警察庁には情報は上がっていないので、以下の発表で議論する。
- <暴力的性犯罪>25%が性犯罪検挙歴 再犯率調査(毎日新聞)
- 性犯罪: 子ども被害の再犯者率16% 昨年検挙の466人中74人−−警察庁が調査
- 女児暴行の2割が再び性犯罪(読売新聞)
- 性犯罪、4人に1人前歴 警察庁が昨年分466人調査(朝日新聞)
見出しありきか?
さて、多くの読者にとって一番の関心事は性犯罪者の再犯率はどれほどで、ミーガン法の是非に関わるような値であるかどうか?ということだろう。どうも世論調査では、ミーガン法を肯定する勢力が大きいようで、記者としては再犯率は(絶対的にでなくても相対的に)高いことを記さないといけないような感じが各社から伝わってくる。つまりミーガン法賛成派の根拠、一時期マスコミで言われていた50%にせまる再犯率の高さというのを曲解して、もしくは迎合して、高いことを示さないといけないような圧力があったのではないか?と部外者にしてみれば思ってしまうような論調が、各社とも見られた。
さて、上がってきた数字は二月ほど前言われていたような数字だっただろうか。まぁ予測されていたとおりな値であるように見える。
しかし、ここで注意をしたいのだが記事の内容がどうもすっきりしない。例えば
1997年までの16年間に摘発された「女児対象強姦(ごうかん)事件」の容疑者506人のうち、昨年6月末までに強姦や強制わいせつ容疑で再び摘発されたのは103人で、全体の20・4%を占めた。
初犯と再犯が非対称なのはナゼ?
また、暴力的性犯罪の前歴を2回以上持つ容疑者144人の場合、35・4%(51人)が再び強姦または強制わいせつで摘発されていたのに対し、1度しか前歴のない容疑者の再犯者率は14・4%で、再犯性の高さを統計的にも裏付けた。
容疑者と犯罪者を比べている?再犯率と再犯罪者率を比べているのはナゼ?
と思ったが調査したのが警察庁だから裁判のデータを扱わなかったのか。恣意的だな。用語としては再犯率・再犯者率と言うよりも再検挙率・再検挙者率といったもののようだ。こんな用語あっていいのか知らないが。google:再検挙率.あと再度検挙された103人と暴力的性犯罪の前歴二回以上の144人てのもよくわからんなぁ。
とまあ、なかなか一筋縄でいかない記事というか、おそらく各社の記者はまだ再犯率と再犯者率の違いを分かってないだろう。ただ、各社ともそれなりに数字を出しているので記事を元にした議論は可能である。まぁ、再検挙率を持ってきているのでナンダカナと思ってしまうが。
数字を使って議論する
というわけで議論の土台となる数字は次のように求めないといけない。
- 初犯者の再犯率
- (調査期間内に同一犯罪を二回繰り返した者の数(ただし三回以上繰り返した者も含む))/(犯罪者全体から三回以上処刑されていない人間)*100
- 前科二犯の再犯率
- (調査期間内に同一犯罪を三回繰り返した者の数(ただし四犯も含む))/(二犯以上の人間から四犯以上していない人間を除く)*100
今回は警察発表なので実際前科が付いたかどうかはわからないが、あまりキニシナイで置こう。再入率を元にした議論は法務省発表を見れば分かるしね。
まずどのような数字があったのかを見てみよう。
- 82-97年に摘発した女児(13歳未満)対象強姦事件の容疑者
- 527人
- そのうち死亡や行方不明の21人を除く
- 506人
- 強姦や強制わいせつで再度摘発された
- 103人
そのうちわけ
- 強姦47人
- 強制わいせつが76人
- 両容疑で摘発された容疑者も20人
- 暴力的性犯罪以外の前科者
- 73
- 暴力的性犯罪の前歴を2回以上持つ容疑者
- 144人:
- さらに(三回以上)容疑をもたれたのは
- 51人
- 1度しか前歴のない容疑者の再犯者率
- 14.4%
- 二回以上の前歴がある容疑者の再犯者率
- 35.4%
特に理解しがたいのは1度しか前歴のない容疑者の再犯者率という表現で、何言いたのかさっぱりわからない。議論を明快にするには、計算しかないわけだが、求めるのは、容疑者(受刑者にあらず)における補導歴ではなく、再犯性である。
したがって(強姦+強制わいせつ)全体の再犯率は、調査年度以前に前科がある物というのが混じっていないと期待すると、計算に使われた犯罪者数は506人と考えられる。
また、2回以上の前歴がある容疑者の再犯者率は、前歴が1度しかない容疑者の2.5倍に上る35.4%だった。の35.4%は再犯率で間違いなく、再犯者率ではなさそう。もちろん再犯者率と再犯率が同じ可能性もある。ただ、二犯者が累犯するのと、三犯者の累犯が混ざっているような気がして自信なし。
じゃ、初犯者の再犯率はというと
容疑累積者全体から三回以上の容疑累積があった者を除いて
103-51=52
それを容疑者全体から二回以上容疑累積のあった者を除き、割る
52/(506-144)*100=14.4%
しかし毎日の25%が性犯罪検挙歴 再犯率調査
の25%というのは明らかに再検挙者率なのは計算するまでもないが、
また、82年から97年の間、子ども対象の強姦事件で検挙された506人の再犯率も調査。昨年6月までに、子ども対象の強姦か強制わいせつで再犯をしたのは2割の103人に上っている。【窪田弘由記】
とその前のパラグラフでだらだらと再犯者率を議論していたのを忘れたかのような結論はどうなんだろう。
そういえば
82―97年に摘発した女児(13歳未満)対象強姦事件の容疑者527人
というのが全国の警察が昨年、子どもを対象にした暴力的性犯罪で摘発した466人
となり、近年ものすごく女児対象の犯罪が増えたかのような記述があるのは、例の平成11年の桶川ストーカー事件の影響なのか?比較対照が強姦と暴力的性犯罪なのも気になるところだが
ついでに再入所率に関して2月24日の各社の記事だと、3年間で8%らしいのだが、不起訴処分とか多いのかね
まぁ犯罪を何度(≧3)も繰り返すのは全体の51/527*100=9.6%のようだが、これって多いのか?
*1:ナンだろう?