巧妙な嘘

●第4楽章 Vivace:極道のサルたち

 おそろしい。こんな歴史に比べたら、幽霊がテレビから出てくるホラー映画なんて、ギャグにしか思えません。本当にコワいのは人間です。そこいく と、動物はこどもを命がけで守るし、仲間同士殺し合うこともないといいますね。気分転換に、こどもたちを連れて動物園へ、ケータイを持たない本物のサルを 見に行きましょう。親切な飼育係のおじさんが、こどもたちにおサルさんのことを教えてくれるようです。

「よいこのみんな、チンパンジーは、なにを食べるかわかるかなー?」
「バナナー!」
「ちがいまーす。チンパンジーは、サルを食べるのでーす」
「ちょっと。やめてくださいよ。こどもたち、ひいてるでしょ」

本当です。五百部裕さんの「アカコロブス対チンパンジー」によると、アフリカの野生のチンパンジーは、1年に平均10kgの肉を食べていますが、その5〜8割はアカコロブスという中型のサルなのです。以前NHKで放送されたイギリスBBCテレビの『ほ乳類大自然の物語』でも、チンパンジーがサルを狩って肉を食らう、ちょっとショッキングな光景が映し出されていました。

さて、ここでは巧みにチンパンジーがコロブスを食べているという風に読ませることで、ヒクのは間違いだとしているが*1、まぁここは引いてもいいんでは無かろうかというのが私の感想。なぜならチンパンジーには嬰児殺し、そしてその子を食べるという事実が観察されているからである。おそらくパオロ・マッツァリーノ氏はそのことを書いてしまうと、突っ込み所ではなくなるので避けたのだと思う。
もちろん母親が自分の子を食べると言ったことは観察されていないけれども、父親かもしれないオスが食ってるわけで、なかなか一筋縄でいかない動物の闇がかいま見えてくるのである。

*1:もちろん、直接は書いていない