おっぱいの人類学的考察
昨日朝日放送のビーバップ!ハイヒール という番組で人類の進化について下世話な視点から分析をしていた。イエローキャブの水着のオネーちゃんが谷間にチップを差し込まれるような下世話さといえば分かってもらえると思う。
さて、番組では解説役にさえないおっさんが出ていた。名前を確認出来なかったのだが、いわゆる東大京大系の自然人類学の人ではなく、どっかの高校の生物の教師のようである。したがって番組の科学性は彼に託されていたのだがその解説は甚だ胡散臭く、そして番組の安易な視聴率稼ぎの為にどんどん下品に進行していくのであった。
問題は高校教師ではなく、オッパイである。番組中オッパイは機能的に不必要なほど大きいということを性淘汰から説明しようと、インチキ人類学の先駆者モリスの仮説を定説のようにあげていた。彼は「オッパイはおしりの形を模している。それは人類だけが対面性交渉をする動物であり、二足歩行をするゆえにセックスアピールを対面で行うようになったからである。」というもっともらしい理屈を「裸のサル」でした。結局彼の仮説は検証されていないのが現実でありながら、インチキ進化論と同じく広く流布されている。実際に 裸のサルは売れに売れ、今でも「〜〜のサル」という本が溢れているのはご存知の通り。
しかし真面目に考えてみるとこれは変。どこが変なのかをあげていくと
- 胸を性的な魅力として理解する文化が著しく欧化した場所に偏っている
- 出産前後の授乳期間中に胸が大きくなる
- 対面で交尾を行うボノボの胸は大きくない
- そもそも対面性交渉が正常位なのはヨーロッパの伝統
などなど矛盾がいっぱいである。
近年でこそ町中で女性が胸をはだけて授乳する姿を見なくなったが、そのような地域において胸は今でも重要視されていない。やっぱりお尻か脚がポイントだ。
ではなぜ胸が性的なアピールという説が受け入れられたのであろうか。
私が考えるに、オッパイ星人の台頭はブラジャーの発明と生活の欧化、少子化にあるのではないだろうか。つまり胸の谷間の生成と、少子化による授乳女性の減少がオッパイ=お尻という認知を促進させたのではないかというのが仮説である。そもそも巨乳化は生活条件の改善によって比較的可能である。しかしそれを性的なものとして受け入れるには、お尻との同一化の過程が必要であろう。ブラジャーによって作られた疑似尻の割れ目がオッパイを性的魅力に仕立て上げたのだ。
しかし問題が残る。そもそも問題の起こりは授乳において、乳房が大きくある必要はないということであった。
なぜ大きくある必要があるのか。
体重の減少が乳房から起きるという話はよく知られている。胸さえも大きいということは十分に栄養が蓄えられているという証拠として考えられる。従って胸が大きいということは、栄養条件の良さを示しているのだ。
しかしなぜ、胸なのだろうか。お尻が巨大化しても問題はないとは言えないか?なぜアジアでは貧乳が多いのか?考えられるのがアレンの法則である。アレンの法則とは
類似の法則にアレンの法則がある。1877年にJ.Aアレン(J.A.Allen)が発表したもので、「恒温動物において、同じ種の個体、あるいは近縁のものでは、寒冷な地域に生息するものほど、耳、吻、首、足、尾などの突出部が短くなる」というものである。これも、体温維持に関するもので、このような体の突出部は、体表面積を大きくして、放熱量を増やす効果がある。温暖な地域では、そのような部分の拡大は、放熱量を増やすことで体温維持を容易にすることになる。逆に、寒冷な地域では、その部分から体温を奪われるという点と共に、そのような部分の体温を維持するのが困難なため、凍傷になりやすいという問題点がある。
実際に寒冷地適応をしている日本人など極東アジア系の民族は一般に胸が小さい。他方巨乳女性の多い白人黒人というのは、遺伝的に離れた黄色人種と異なり、つまり我々日本人ならば胴長短足の樽型になって脂肪を蓄積するところを、凸凹体型いわゆるボンキュッボンになることで脂肪を分散して蓄積するように進化している可能性があるのだ。したがって富栄養化と表面積の増大を兼ねた進化が巨乳というのがここでのポイントである。
もっとも乳児が乳房に対するアタッチメントを学習しやすいように、柔らかくなったで十分ではないだろうか。チンパンジーやボノボより握力が弱く生まれてくる人間の乳児が一番安心出来るのは母親に抱えられた姿勢である。その時の環境改善として巨乳化が起きたといのがことの真相ではないだろうか。
巨乳好きとはマザコンと言うことである
- 作者: デズモンドモリス,Desmond Morris,日高敏隆
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1999/06
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 35回
- この商品を含むブログ (21件) を見る